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✂虚数✂

毎日毎日新型肺炎の感染者と死者が

倍々に増えるニュースが流れ

丁度読み終わった本とリンクする

僕はどこか他人事のような

対岸の火事のような

まだ身に迫らず

だけどこの物語の主人公は

なぜ自分が助かってるのか

なぜ自分が選ばれないのか

そこに嫌悪感や不安を感じる

僕ときたらピンとせず

なんなら、かかった時「なぜ自分なんだ」

って、主人公と真逆に思う

「この世界にアイは存在しません」

この言葉が始まりから終わりまで

常に横たわり

主人公に問いかけ続ける

最初は数学の虚数「i」で始まり

一人称単数の「i」だったり

愛情の「i」だったり

008

「 i 」西加奈子

シリアに生まれた主人公のアイ

まもなく養子に入り何不自由なく

沢山の愛情を与えてくれる両親との

幸せな暮らしを得る

だけれどその反面

自分と同じような環境の子どもたちの中

なぜ自分が選ばれたのか

なぜ他の子は選ばれなかったのか

「恵まれてることが自分を傷つける」

生まれてきたことの「理由」なのか「許諾」なのか

そして世界ではその瞬間その瞬間

紛争や事故や疫病や震災や

失われていく命

アイはノートにその事件や紛争

そして失われた命を書き綴り

自分のアイデンティティ

存在意義を探す

そこには家族や恋人、親友が寄り添って

自分の気持ちを考え、教えて、発見し、生まれる

僕はやっぱり主人公にはなれなかった

それはこの作者 西加奈子さんが

誕生から2歳までイラン・テヘラン

小学校1年から~5年までエジプト・カイロ

その後大阪で育ったという

環境から生まれる発想なのか

僕が絶対持ってない感覚が基礎にある

でも、慄えた

日常の中、僕が目をそらして

分かっちゃいるけど分かっていない

見ても寄り添わない現実を突きつけられ

何度も慄えた

今読むべき一冊

今だからこそ

 

追伸、娘が昨日都内のドラッグストアに寄ったら

漫画のセール会場のようなパニック

頭の上をマスクの箱が飛んでいく

マスク目的ではないので諦めたそうだけど

一言

「あの中にいるほうが伝染りそう」

 


2020年2月1日


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