✂虚数✂
毎日毎日新型肺炎の感染者と死者が
倍々に増えるニュースが流れ
丁度読み終わった本とリンクする
僕はどこか他人事のような
対岸の火事のような
まだ身に迫らず
だけどこの物語の主人公は
なぜ自分が助かってるのか
なぜ自分が選ばれないのか
そこに嫌悪感や不安を感じる
僕ときたらピンとせず
なんなら、かかった時「なぜ自分なんだ」
って、主人公と真逆に思う
「この世界にアイは存在しません」
この言葉が始まりから終わりまで
常に横たわり
主人公に問いかけ続ける
最初は数学の虚数「i」で始まり
一人称単数の「i」だったり
愛情の「i」だったり
「 i 」西加奈子
シリアに生まれた主人公のアイ
まもなく養子に入り何不自由なく
沢山の愛情を与えてくれる両親との
幸せな暮らしを得る
だけれどその反面
自分と同じような環境の子どもたちの中
なぜ自分が選ばれたのか
なぜ他の子は選ばれなかったのか
「恵まれてることが自分を傷つける」
生まれてきたことの「理由」なのか「許諾」なのか
そして世界ではその瞬間その瞬間
紛争や事故や疫病や震災や
失われていく命
アイはノートにその事件や紛争
そして失われた命を書き綴り
自分のアイデンティティ
存在意義を探す
そこには家族や恋人、親友が寄り添って
自分の気持ちを考え、教えて、発見し、生まれる
僕はやっぱり主人公にはなれなかった
それはこの作者 西加奈子さんが
誕生から2歳までイラン・テヘラン
小学校1年から~5年までエジプト・カイロ
その後大阪で育ったという
環境から生まれる発想なのか
僕が絶対持ってない感覚が基礎にある
でも、慄えた
日常の中、僕が目をそらして
分かっちゃいるけど分かっていない
見ても寄り添わない現実を突きつけられ
何度も慄えた
今読むべき一冊
今だからこそ
追伸、娘が昨日都内のドラッグストアに寄ったら
漫画のセール会場のようなパニック
頭の上をマスクの箱が飛んでいく
マスク目的ではないので諦めたそうだけど
一言
「あの中にいるほうが伝染りそう」
2020年2月1日
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